第8章 (製品実現の為の)運用 のどの辺?
『第8章 (製品実現の為の)運用)』 IATF(8.2.3.1.3)組織の製造フィージビリティ(実現性) に関する要求の説明に入ります。
ISO | 8.2.3 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー |
ISO | 8.2.3.1 | 顧客要求事項を”満たす能力”及び”提供前のレビュー” |
IATF | 8.2.3.1.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー(補足) |
IATF | 8.2.3.1.2 | 顧客指定の特殊特性 |
IATF | 8.2.3.1.3 | 組織の製造フィージビリティ(実現性) |
ISO | 8.2.3.2 | 顧客要求事項レビュー結果及び新要求事項の文書化と情報の保持 |
ISO,IATFの規格全体を見たい人は、こちらのリンクへどうぞ!
前箇条のおさらい/思い出し
前箇条は、IATF8.2.3.1.2特殊特性の紹介でした。詳しくは、前の箇条の説明を読んでください。
ISO8.2.3 シリーズは、顧客要求事項です。そこに追加したのがIATF8.2.3.1.1と8.2.3.1.2。でした。そして今回3つ目の追加に成ります。
ポイントはシンプルです。顧客要求事項とは何ぞや?ISO9001レベルでは、不足なので自動車部品業界は、更に3つ追加されていると言う事ですね。今回がその追加された最後の3つ目になるわけです。
それでは、最後IATF8.2.3.1.3の顧客要求事項の内容を紹介していきます。
QMSに書いてみよう♪⇒IATF(8.2.3.1.3)組織の製造フィージビリティ(実現性)
私は、IATF対訳文を下記のように独自編集してQMSに記載してみました。皆さんのQMS文面作成時の参考にしてみてください。
組織は、顧客と製品受注の契約前(受注前)に、顧客が提示する契約内容及び要求事項を自社が、製造の実現可能性なのか?調査しなければならない。
当社は、APQPのPhase0の製品構想説明会にて、1)~3)の内容をフィージビリティ(実現性)を確認する。
1)顧客要求事項の合否判断は複数部門で確認する
顧客が規定した、全ての要求事項の合否判断は、部門横断的アプローチ(APQPチーム)で、実行する事。特定の人物や1部署での判断をしない事。
尚、全ての要求事項とは、①技術的な要求事項、②生産能力の要求事項。これら全ての要求事項に適合した製品と生産の実現可能性を合否判断する。
2)受注製品の実現性の分析
フィージビリティ(実現性)分析を実施する対象は、引合い製品が、①~④に該当する場合に実行する。
①新規の製造技術
②新規の製品技術
③変更された製造工程
④変更された製品設計3)その他の妥当性確認事項
次の①~③に対する妥当性確認も実行する事。
①生産稼動
②ベンチマーキング調査
③仕様通りの製品を要求される速度で生産する能力
ここでのポイントは、APQPのPhase1段階。営業部門が、一生懸命顧客へ新規車種の情報収集の上、顧客からRFQを貰う前に、『おたくの会社で、こんな製品作れるかな?』とコンセプト情報や構想図面が出てくる場合が有ります。それを持ち帰り社内で、自社の技術で、顧客がイメージする製品を作ることが出来るか?そんな検証をしなさいと言うIATFの要求事項に成ります。
ろくに顧客の欲しい製品の機能や特徴を知らず、やみくもに受注して『作れませんでした』では、企業信頼はゼロですからね。ライバル他社の情報や技術力の差が無いかも調査が必要だしね。
逆にこの段階で、自社の新技術をアピールしてコスト、技術メリットをPRして、自社がRFQ獲得を有利にする段階でもあります。ただ、落とし穴は、自社の工場の生産能力や利益の部分の検証も必要ですね?利益が出なければ、企業の存続も危ういので。結果的に未納が起きれば、顧客も困ります。
今回の箇条は、そう言った面を含めた『顧客が欲しい製品が、自社の技術で確実に作れ、安定した生産可能な工場か?』そこをAPQPチームは、それぞれの専門部署のエキスパートが、総合的に検証せよと言っていると私は解釈し、まとめています。
今回の箇条紹介は、ここまでです。
対訳本の個人的な見解として書いています。皆さんの見解と異なる、若しくは誤っている場合も有るので、他の人は、こんな風にやっているんだという視点で見ていただければと思います。引き続き、日追って各箇条を追加していきますので、宜しくお願い致します。