第4章 組織の状況 ここからIATF条項(4.3.1)
前回まで紹介した第4章は、以下の3項目。全てISO9001:2015の要求事項範囲に成ります。
- (4.1)組織及びその状況の理解
- (4.2)利害関係者のニーズ及び期待
- (4.3)品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
ん?前回までISO?どういう事?
ISOとIATFの箇条関係てどうなってるんだろう?
今回紹介の(4.3.1)品質マネジメントシステムの適用範囲の決定-補足 は、IATF16949の要求事項に成ります。ISO9001の要求事項では、自動車部品製造業の管理レベルは維持できない、不足だという考えで、IATFは、ISO要求事項に対し、更に細かい管理要求を追加しています。要求事項№(箇条)が、3桁以上に成るとISO条項も有りますが、比率的にIATF要求事項が多くなってきます。4桁以上は、殆どIATF要求事項に成ります。
ISOとIATFの見分け方ポイント!
以下4点を頭に入れると便利です。
- 自動車部品業界では、管理がISO要求レベルじゃ不足。
- IATFはもっと厳しい会社管理にするぞ!
- ISO要求事項にIATFは後付け要求文の構成に成っている。
- 要求事項(箇条)4~5桁はIATFと思え。
流れを簡単に思い出すと、
(4.3)で、会社のルール(QMS)で仕事する会社組織は、会社から見て、会社の利害に関係(内部&外部)と関わる業務を実施する部署は全てQMSのルールを適用する!と言いましたね。単純に殆どの部門部署と事業所がそうなりますね。
それから、会社の仕事=全部署の仕事は、全部文書化しなさい。もし、QMSのルールを適用外とする仕事が有るなら、その理由を明確に示しなさい。裏を返すとそんな証明できないんだから、ちゃんとQMSに従ったマネジメント可能な文書化を推進せよと言っていました。それらを踏まえて、再度適用させる組織について、IATF(4.3.1)は、しつこく要求事項に成っています。こんがらからないように、理解が必要ですね。
ISO | 4.1 | 組織及びその状況の理解 | |||||||||||||||
ISO | 4.2 | 利害者関係のニーズ及び期待の理解 | |||||||||||||||
ISO | 4.3 | 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 | |||||||||||||||
IATF | 4.3.1 | 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定(補足) | |||||||||||||||
IATF | 4.3.2 | 顧客固有要求事項 | |||||||||||||||
ISO | 4.4 | 品質マネジメントシステム及びそのプロセス | |||||||||||||||
ISO | 4.4.1 | 品質マネジメントシステムの確立・実施・維持・継続的改善の要求 | |||||||||||||||
IATF | 4.4.1.1 | 製品及びプロセスの適合 | |||||||||||||||
IATF | 4.4.1.2 | 製品安全 | |||||||||||||||
ISO | 4.4.2 | 品質マネジメントシステムに関する文書化した情報に関する要求 |
それでは、私なりの(4.3.1)品質マネジメントシステムの適用範囲の決定-補足 を次の項に紹介します。内部と外部と言う言葉の意味の続きです!
IATF(4.3.1)品質マネジメントシステムの適用範囲の決定-補足
前述の説明でISOとIATFの要求事項(箇条)関係が分かったと思います。もう一度、頭を整理すると、ISO(4.3)の要求事項に対し、IATF(4.3.1)は補足として、自動車業界は、こう考え管理します。と言っているわけです。ISO(4.3)そのものの文章を修正せず、わざわざ別の文書でIATF(4.3.1)として、後からブツブツ注文している人と同じ感じですね。
1)支援部門の適用(全組織を適用範囲とする)
支援部門(技設計開発部門、本社及び物流センター等)は、サイト内にあろうと遠隔地にあろうと、品質マネジメントシステム(QMS)の適用範囲に含めなければ成らない。
支援部門?サイト?遠隔地?何のこと?サッパリ意味わからん言葉だ。
簡単に言うとサイトは、その会社敷地内。会社によっては、物を生産する工場と設計開発部門が、別の地域に分かれていますね?特に営業所は全国に有ったり、物流センターも単独で、別な地域に存在します。遠隔地とは、工場と同じ場所地域に無いけど、A県に設計開発センターと、B県に物流センター、C県に物流センターと散らばっていますよと言う意味です。
ここで言いたいのは、単純に、IATFを取得し、品質マネジメントシステム(QMS)を運用するのは、会社の全国組織、支店、全国の工場、全国の営業所、設計開発センターは、同じ会社組織だから、QMSと言う会社のルールで共通にマネジメントしなさい!と言っています。遠いからって、関係ないとは言わせません。除外は出来ないのです。
余談ですが、経理や経営企画部門は、適用外です。なぜなら顧客サービスに直接利害関係が無い業務だからです。もし、関係する業務プロセスが有れば、適用範囲に含めなければなりませんが、一般的に含まれません。
2)適用範囲の除外が出来る場合
この自動車産業QMS規格における唯一の許可される除外は、ISO9001の箇条8.3における製品の設計・開発の要求事項に関連するものである。除外は、文書化した情報(ISO9001の箇条7.5参照)として正当性を示し維持しなければならない。許可される除外に、製造工程設計は含めない。
この要求文書だけ見てると、分かりにくいですね。前述で、会社組織は、IATFに従ったQMSで会社組織をマネジメントせよ!適用除外は無い!と言いつつ、除外が出来ると書いています。それは、会社が、『製品設計をしない=設計部門が無い』場合だけです。顧客から図面を貰って、図面通り、製品を生産するだけの会社の場合、認められます。IATFの認証書にも適用範囲組織が注意書きで、『設計除外』と記載されます。
話を戻すと、今後出てくる箇条(8.3)から製品開発設計に関する要求が有りますが、設計部門が無いから要求事項は関係ない、とは成りませんよ!と注意しています。詳細は、(8.3)の時に説明します。
以上、(4.3.1)箇条は、要求文面が短いですが、結構中身は深かったですね。慣れが必要ですね。
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