第7章支援(経営基盤) のどの辺?
『第7章支援(経営基盤)』 11つ目の箇条です。今回は、(7.1.5.2)測定のトレーサビリティに関する要求の説明に入ります。
ISO | 7.1 | 経営の資源 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.1 | 一般(資源の確保) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.2 | 人々(必要な人材) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.3 | インフラストラクチャ(QMSの運用、維持に必要な経営資源) | |||||||||||||||
IATF | 7.1.3.1 | 工場、施設及び設備の計画 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.4 | プロセスの運用に関する環境(作業環境) | |||||||||||||||
IATF | 7.1.4.1 | プロセスの運用に関する環境(作業環境)(補足) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.5 | 環境及び測定の為の資源 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.5.1 | 環境及び測定の為の資源(一般) | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.1.1 | 測定システム解析(MSA) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.5.2 | 測定のトレーサビリティ | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.2.1 | 校正/検証の記録 | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.3 | 試験所要求事項 | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.3.1 | 内部試験所 | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.3.2 | 外部試験所 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.6 | 組織の知識(部門業務知識の標準化) | |||||||||||||||
ISO | 7.2 | 人々の力量 | |||||||||||||||
IATF | 7.2.1 | 力量(補足) | |||||||||||||||
IATF | 7.2.2 | 力量-業務を通じた教育訓練(OJT) | |||||||||||||||
IATF | 7.2.3 | 内部監査員の力量 | |||||||||||||||
IATF | 7.2.4 | 第2者監査員(サプライヤ監査員=SQA)の力量 | |||||||||||||||
ISO | 7.3 | QMSと目標の認識 | |||||||||||||||
IATF | 7.3.1 | 認識(補足) | |||||||||||||||
IATF | 7.3.2 | 従業員の動機付け及びエンパワーメント(=発展や改革に必要な力) | |||||||||||||||
ISO | 7.4 | 内部・外部のコミュニケーション | |||||||||||||||
ISO | 7.5 | 文書化した情報 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.1 | 文書化した情報(一般) | |||||||||||||||
IATF | 7.5.1.1 | 品質マネジメントシステムの文書類 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.2 | 作成及び更新 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.3 | 文書化した情報の管理 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.3.1 | 利用利便性及び文書の保護 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.3.2 | 管理に取組む為の必要行動 | |||||||||||||||
IATF | 7.5.3.2.1 | 記録の保管 | |||||||||||||||
IATF | 7.5.3.2.2 | 技術仕様書(顧客要求事項変化に伴う関連文書変更プロセス) |
前箇条のおさらい/思い出し
前回は、IATF箇条(7.1.5.1.1)MSAの話でした。測定システム解析の事です。自動車部品業界として、ISOより厳しい要求を追加しています。自動車は、生命に関わる安全部品です。したがって、自社の検査機器が狂っていたり、検査員が、検査方法が適当な場合、正しい検査結果が出来ません。それは、不良品が流出される可能性が高いと言う事ですね。そう言った事が無い様に、検査・測定が、正しい事を証明する為の要求事項が書かれています。
立派な測定機器合っても、何の知識も訓練もしていないバイト君に、検査させてたら計り方も適当で、合格品にされていたらたまらないよ。リコールになっちゃうからね。品質クレームだらけだよ。
そうですね。自動車部品メーカーの試験結果の改竄事件で、製品要求規格NGを合格にごまかしていた事例や検査スキルの無い人員を検査測定器で検査させていた事件も有り、大規模リコールに成りましたね。よって、IATFでは、非常に厳しくこの部分を強化しています。外部審査員もしっかり監査しますね。
今回の箇条ISO(7.1.5.2)測定トレサビリティーも関係するので、しっかり、検査部門や試験部門は、検査測定器、試験設備を管理する事を求めています。それでは詳細を下記に紹介します。
QMSに書いてみよう♪⇒ISO(7.1.5.2)測定のトレーサビリティ
私は、ISO対訳文を下記のように独自編集してQMSに記載してみました。皆さんのQMS文面作成時の参考にしてみてください。
1)測定器自体のトレサビリティー
測定した結果(数値)が、顧客製品要求事項に適合している事を提示しても、その測定行為の信頼性・妥当性が、確保されない限り、測定結果の値が、顧客製品要求事項に適合していると証明にならない。よって、その測定値の信頼性の根拠の一つとして、『測定器のトレーサビリティ』を実施しなければならない。
2)測定機器が満たすべき条件
測定のトレーサビリティが、顧客要求事項と成っている場合、又は、組織がそれを測定結果の妥当性に『信頼を与える為の不可欠な要素』とみなす場合には、測定機器は、下記のa)~d)の事項を満たす事。a)測定機器の校正管理
定められた頻度、又は使用前に、国際軽量標準又は、国家計量標準に対して、トレーサブル(連鎖されている証)である、計量標準に照し合せて校正、検証、又は、その両方を実施する。
b)各測定機器へ校正識別ラベル表示
校正、検証を実施された状態を明確にする為に、識別を実施する。測定機器の校正記録に対して、トレーサブルな番号又は、識別子は、ISO9001:2015おける要求事項の意図を満たす。(IATF;注記)
c)測定機器の保管保護
校正された測定機器は、その校正された状態保つ事。従って、測定結果が無効になってしまう様な調整行為、損傷、劣化から保護する
d)測定機器が要求事項に適合しない場合
もし、校正などで測定機器が、製品要求事項に対し、不適合である事実が判明した場合は、過去に遡り、その測定器を使用して測定した対象製品の結果の妥当性を再評価しなければならない。
今回は、社内に有る全ての検査機器に対する管理要求ですね。校正するのは常識なので、今更細かい説明は不要ですね。
製造業なら必ず、測定機器は保有していますね。忘れずに構成し、その証明記録は残しましょう。どの測定器か?校正期限を記載したシールを測定機に貼りましょう。
測定器とは、簡単な物なら鋼尺、ノギスが有ると思います。マイクロメーターや電子仕掛けの高度な測定器まで。工程内に組み込まれた測定機もあります。Assyで完成品に成る前の半製品状態で製品要求事項の確認検査で、測定機器を使いますね。もっと遡れば、部品や材料の受入検査も有ります。
トレサビリティーの管理は、昔から下記の事やってるよね?
- 測定機器管理台帳
- 内部校正計画管理計画書
- 外部校正計画管理計画書
- 校正証明書
- 使用前点検票&使用者記録
- 使用者資格一覧表&スキルマップ
- 検査記録(検査機器№&検査員名記載)
良いポイントを言いましたね。まだ、試験関連の話は、次の箇条以降も続くので、詳細は、そちらで説明しますね。
今回の箇条紹介は、ここまでです。
対訳本の個人的な見解として書いています。皆さんの見解と異なる、若しくは誤っている場合も有るので、他の人は、こんな風にやっているんだという視点で見ていただければと思います。引き続き、日追って各箇条を追加していきますので、宜しくお願い致します。
コメント