第7章支援(経営基盤) のどの辺?
『第7章支援(経営基盤)』 34つ目の箇条で、最後の、 IATF箇条 (7.5.3.2.2)技術仕様書(顧客要求事項変化に伴う関連文書変更プロセス) に関する要求の説明に入ります。
ISO | 7.1 | 経営の資源 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.1 | 一般(資源の確保) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.2 | 人々(必要な人材) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.3 | インフラストラクチャ(QMSの運用、維持に必要な経営資源) | |||||||||||||||
IATF | 7.1.3.1 | 工場、施設及び設備の計画 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.4 | プロセスの運用に関する環境(作業環境) | |||||||||||||||
IATF | 7.1.4.1 | プロセスの運用に関する環境(作業環境)(補足) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.5 | 環境及び測定の為の資源 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.5.1 | 環境及び測定の為の資源(一般) | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.1.1 | 測定システム解析(MSA) | |||||||||||||||
ISO | 7.1.5.2 | 測定のトレーサビリティ | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.2.1 | 校正/検証の記録 | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.3 | 試験所要求事項 | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.3.1 | 内部試験所 | |||||||||||||||
IATF | 7.1.5.3.2 | 外部試験所 | |||||||||||||||
ISO | 7.1.6 | 組織の知識(部門業務知識の標準化) | |||||||||||||||
ISO | 7.2 | 人々の力量 | |||||||||||||||
IATF | 7.2.1 | 力量(補足) | |||||||||||||||
IATF | 7.2.2 | 力量-業務を通じた教育訓練(OJT) | |||||||||||||||
IATF | 7.2.3 | 内部監査員の力量 | |||||||||||||||
IATF | 7.2.4 | 第2者監査員(サプライヤ監査員=SQA)の力量 | |||||||||||||||
ISO | 7.3 | QMSと目標の認識 | |||||||||||||||
IATF | 7.3.1 | 認識(補足) | |||||||||||||||
IATF | 7.3.2 | 従業員の動機付け及びエンパワーメント(=発展や改革に必要な力) | |||||||||||||||
ISO | 7.4 | 内部・外部のコミュニケーション | |||||||||||||||
ISO | 7.5 | 文書化した情報 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.1 | 文書化した情報(一般) | |||||||||||||||
IATF | 7.5.1.1 | 品質マネジメントシステムの文書類 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.2 | 作成及び更新 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.3 | 文書化した情報の管理 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.3.1 | 利用利便性及び文書の保護 | |||||||||||||||
ISO | 7.5.3.2 | 管理に取組む為の必要行動 | |||||||||||||||
IATF | 7.5.3.2.1 | 記録の保管 | |||||||||||||||
IATF | 7.5.3.2.2 | 技術仕様書(顧客要求事項変化に伴う関連文書変更プロセス) |
前箇条のおさらい/思い出し
前箇条は、IATF(7.5.3.2.1)記録の管理でした。ISO(7.5.3)文書化した情報の管理シリーズの枝番として、記録文書の管理に特化した要求事項でした。IATFでは、ISO(7.5.3.1)(7.5.3.2)だけでは、不足と考え、それらに付け足す形で、要求事項を追加しているわけです。
今回は、第7章支援(経営基盤)の最後のシリーズです。それでは、IATF(7.5.3.2.2)技術仕様書の説明に入ります。
QMSに書いてみよう♪⇒IATF(7.5.3.2.2)技術仕様書(顧客要求事項変化に伴う関連文書変更プロセス)
私は、IATF対訳文を下記のように独自編集してQMSに記載してみました。皆さんのQMS文面作成時の参考にしてみてください。
顧客が発行する『技術規格及び技術仕様書』の変更や改定が発生した場合、顧客から我々組織に連絡通達を受領し、その後の社内展開『適用指示』、『変更指示』を行う『展開処理プロセス』を構築し、実施しなければならない。そのプロセスに含める重要な内容を以下に示す。
- 取引顧客が、発行する全ての『技術規格及び技術仕様書』改定に対して、改定内容の確認(レビュー)、新旧の差替え配布を行う為の文書管理プロセスを構築し、規程文書化する事。尚、各取引顧客が要求する展開期日を順守する内容とする事。
- 『技術規格及び技術仕様書』変更に伴い、『製品設計の変更』と成る場合、(8.3.6:設計・開発の変更)を適用する。
- 『技術規格及び技術仕様書』の変更が、『製品実現プロセスの変更』と成る場合、(8.5.6.1:変更管理-補足)を適用する。
- 各変更が実施され、その後に生産した個々の記録(日付含む)を保持する事。変化点管理の記録を実施。
- 変更によって、影響する見直しが必要な文書は、必ず更新する。
- 変更内容の完了とレビューは、『技術規格及び技術仕様書』の受領から10日稼働日以内に完了する事が、望ましい。
- 生産部品承認(PPAP)に含まれるコントロールプラン、FMEA等の文書に影響する場合は、PPAP更新が顧客に承認された記録を残す。
この箇条は、旧TS16949にも類似条項が有りました。特に若干変わったのが、『技術規格及び技術仕様書』の『受領から10日以内に完了』と変わりました。以前は、確か1週間以内でしたね。ほとんど変わらないですがね。管理する内容は一緒です。
ところで、顧客が発行する『技術規格及び技術文書』って、具体的に何だい?よくわからんな。
物を作ると言う事は、自動車メーカーは、独自の設計規格や試験規格を持っています。完成車両は、何万点と言う部品の集合体。それらを色々な部品メーカーへ、依頼を出すには、ある程度工業規格の様に、基準が無いと製品化できません。だから、動力、電子、金属、ゴム、樹脂成型品それぞれの設計基準や試験基準を作成しています。それらを技術標準と言います。例えば日産はNDS(日産設計標準)とか、各社略称や通称が有ります。設計部門は、良く使いますね。
もしそれらが、新規受注の製品で、設計段階中に、顧客の設計標準の改定知らないで、旧のルールで設計していたら、大変な事に成るな。ひょっとしたら下請けから購入している部品も影響するかも・・・。
その通りです。常に顧客の技術文書の改廃は、重要な確認事項ですね。だから、IATFでは、特別にISOに無い、顧客技術文書の変更改定の重要性を要求しているのです。開発段階でも量産段階でも管理は一緒です。自分達の製品に影響が有り、変更しなければならないか?常に確認が必要になります。だから、きちんと管理するプロセスを求められています。
今回の箇条紹介は、ここまでです。
対訳本の個人的な見解として書いています。皆さんの見解と異なる、若しくは誤っている場合も有るので、他の人は、こんな風にやっているんだという視点で見ていただければと思います。引き続き、日追って各箇条を追加していきますので、宜しくお願い致します。