IATF16949&ISO9001の要求事項解釈/IATF(7.1.5.3.1)内部試験所

  • IATF要求事項を箇条個別に品質マニュアルにまとめた事例を紹介!
  • 内部監査、外部定期審査・更新審査前の規格理解のヒントがほしい!
  • そんな方々に、お役立つ記事を書いています♪
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第7章支援(経営基盤) のどの辺?

『第7章支援(経営基盤)』 14つ目の箇条です。

 

今回は、IATF箇条(7.1.5.3.1)内部試験所  に関する要求の説明に入ります。

 

主に、検査機器、試験設備を使う、プロセスオーナーは、社内の品質保証部や実験部、試験部、検査課と名前が付く組織が関係する要求事項に成ると思います。

ISO 7.1 経営の資源
ISO 7.1.1 一般(資源の確保)
ISO 7.1.2 人々(必要な人材)
ISO 7.1.3 インフラストラクチャ(QMSの運用、維持に必要な経営資源)
IATF 7.1.3.1 工場、施設及び設備の計画
ISO 7.1.4 プロセスの運用に関する環境(作業環境)
IATF 7.1.4.1 プロセスの運用に関する環境(作業環境)(補足)
ISO 7.1.5 環境及び測定の為の資源
ISO 7.1.5.1 環境及び測定の為の資源(一般)
IATF 7.1.5.1.1 測定システム解析(MSA)
ISO 7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
IATF 7.1.5.2.1 校正/検証の記録
IATF 7.1.5.3 試験所要求事項
IATF 7.1.5.3.1 内部試験所
IATF 7.1.5.3.2 外部試験所
ISO 7.1.6 組織の知識(部門業務知識の標準化)
ISO 7.2 人々の力量
IATF 7.2.1 力量(補足)
IATF 7.2.2 力量-業務を通じた教育訓練(OJT)
IATF 7.2.3 内部監査員の力量
IATF 7.2.4 第2者監査員(サプライヤ監査員=SQA)の力量
ISO 7.3 QMSと目標の認識
IATF 7.3.1 認識(補足)
IATF 7.3.2 従業員の動機付け及びエンパワーメント(=発展や改革に必要な力)
ISO 7.4 内部・外部のコミュニケーション
ISO 7.5 文書化した情報
ISO 7.5.1 文書化した情報(一般)
IATF 7.5.1.1 品質マネジメントシステムの文書類
ISO 7.5.2 作成及び更新
ISO 7.5.3 文書化した情報の管理
ISO 7.5.3.1 利用利便性及び文書の保護
ISO 7.5.3.2 管理に取組む為の必要行動
IATF 7.5.3.2.1 記録の保管
IATF 7.5.3.2.2 技術仕様書(顧客要求事項変化に伴う関連文書変更プロセス)

ISO,IATFの規格全体を見たい人は、こちらのリンクへどうぞ!

前箇条のおさらい/思い出し

前回の紹介は、IATF(7.1.5.3)試験所要求事項でした。

しかし、対訳本原文は、タイトルのみ。よって、要求事項の文面は、公式には無いです。

 

なので、疑問に思った方もいると思います。

 

私の記事は、ISOやIATFの公式規格要求をそのまま品質マニュアルに使う事を考えていません。社内の誰もが理解できる様に、書く事を目的としています。

 

悲しい事に、権威性を持たせる為、故意に理解させない表現を好む人種が存在します。皆さんの周りにも居ると思います。困ったものです。絶対にマウンティングをする目的で、IATFを語らないでくださいね。

 

話を戻しますと、IATF(7.1.5.3)は試験所を語るぞ!と始まったわけですね。

 

その流れは、

  • IATF(7.1.5.3)+(1)内部試験所
  • IATF(7.1.5.3)+(2)外部試験所

ですね。箇条構成が見えましたね。

 

それでは、今回の本題IATF(7.1.5.3.1)内部試験所の説明を下記に進めます。

QMSに書いてみよう♪⇒IATF(7.1.5.3.1)内部試験所

私は、IATF対訳文を下記のように独自編集してQMSに記載してみました。皆さんのQMS文面作成時の参考にしてみてください。

 

IATF対訳本の原文を大幅に表現を変えています。特別な用語も出てきますので、説明も沢山付加しています。

★内部試験所を管理する為の要求事項を以下に示す。

 

1)試験所の適用範囲(ラボスコープ)

 

当社の品質マニュアル適用範囲に含まれる組織である、全国の製造拠点、支店を含む組織内部の試験所施設は、下記の事を含めた『ラボスコープ一覧表』にて、自社の試験能力を把握し、管理する。

  • 顧客から要求される『検査、試験、社内校正サービスを実行する能力』が、自社でどの程度の範囲が可能なのか明確にする。
  • この試験所適用範囲は、品質マネジメントシステム文書に含めなければ成らない。(別表参照:ラボスコープ一覧表)

 

2)試験所に必要な規程文書

 

  • 試験所での業務及び管理運営する為に、必要な文書を作成しなければならない。
  • その文書は、必要な範囲で2次文書(規程文書)及び3次文書(作業手順書)を下記に示す、a)~d)の内容を含め作成する。 

 

a) 試験所エリアの管理規程

  • 主に、テストサンプル及び測定機器、試験機の『受領、識別、取扱い、保護、保管、管理、廃棄』の管理。
  • また、試験所内部の温度や湿度の必要な環境条件、5S管理も含める事。

 

b) 試験所要員の力量(7.2.1参照)

  • 試験所の試験機及び校正を実施する人員の管理を実施しする。具体的に、資格制度を実施し、一定の教育指導終了後に、従事し、更にその技量を測定するシステムを持ち、スキルマップ(力量表)で管理する。

 

c) 製品の試験可能な種別

  • どの様な試験が実施できるのか試験種目を明確リスト化する。

 

d) 試験所が該当する公的規格に基づいた試験実行能力

  • 試験が実行できる能力を明確にする。それは、該当する規格(ASTM=米国試験材料協会、EN=EU加盟国の国家規格等)に基づいて、明確にする。
  • 通常、サンプリングを含む試験及び校正の方法を記載する。
  • 国家基準又は国際標準が存在しない場合、組織は、測定システムの能力を検証する手法を定めて実施しなければならない。

 

e) 顧客からの試験に関わる要求事の明確化

  • OEMメーカー(自動車会社)が、発行する最新版の試験技術標準文書を外部文書として責任部署が管理し、最新状態に管理する。
  • また、それらを開発段階、量産段階で、最新版を適用できる環境及び適用時の試験記録トレサビリティーを取れる記録管理をする事。
  • 例)HES:ホンダ試験標準、NES日産試験標準

 

f) 関係する記録のレビュー 

  • 試験所で管理すべき記録(校正記録、人員のスキル監視評価、温度管理、5S、設備利用履歴、試験データ管理等々)は、任意の頻度を決定し、その記録を責任者が確認し、PDCAの改善活動につなげ、改善を実行する。
  • また、試験所の異常時のルールに従い、適切な処置を行う。

 

3)IATF(7.1.5.3.1)要求事項の適用時期

  • このIATF内部試験所の要求事項は、
  • 量産時の製造段階のみならず、設計開発段階(APQP Phase2~4)の試験評価時にも、適用される。

 

注記)
ISO/IEC17025(又はそれに相当するもの)に対する第三者認定を、組織の内部試験所が、この要求事項に適合している事の実証に使用しても良い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<用語の説明補足>

  1. ASTM規格

ASTMは、世界最大規模の標準化団体での事。米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials: ASTM、現在はASTM International)の略語。

ASTMは、世界最大級の民間規格制定機関の事。標準試験方法や使用、作業方法、分類、ガイド、用語集を作成る団体。

その分野は、約130に及ぶ、プラスチック、金属、塗料、繊維、石油、建設、エネルギー、環境、消費財、医療サービス・機器、コンピュータシステム、電子機器等の範囲に成る。

2.EN規格

EN規格とは「European Norm」の略称である。European Standardsとも言う。日本語では、通称「EN規格」、「欧州規格」と呼ばれている。また、EN規格は、EU各国間で、国家規格とするように義務付られている。ヨーロッパ統一規格に成る。EN規格 = EU加盟国の国家規格の事。

3.ISO/IEC17025

ISO/IEC17025とは、試験所認定で、第三者人的機関が認定する、IATF16949とは、別な規格。認定目的は、製品検査及び分析・測定等を実施する、試験所及び計測機器の校正業務を行う校正機関に対する、要求事項が定められている。

 

内部試験所とは、自分の会社内に有る試験所の管理に話です。自動車部品メーカーなら、大なり小なり、試験機を持っていると思います。

 

例えば、環境試験室や気密性試験、引張試験機、耐荷重試験機、摩耗性試験機等々、自社製品に必要な試験機を自前で持っていると思います。

 

試験部門は、a)~f)に関わる内容を理解して、管理規程を文書化するのが重要ポイントと思いました。

私が、実施したのは、試験設備のリストを作成し、自社がどの程度の範囲で試験が出来るのか?マトリックス表を作りました。

 

それをベースに、試験機器の各種手順書、責任者や操作資格者スキル表も整備。

 

私の会社は、資金力が無いから、外部の試験屋さんに依頼しているね。社内じゃ校正も出来ないしね。

買った試験機のメーカー呼ばないと何もできないからね。

外部に頼む場合は、外部試験所と言います。その要求事項は、次の箇条で説明します。今回は、自社内に有る、試験所の話ですから。

それと最後の注記にわけのわからん、ISO/IEC17025って、書いていたけど何の事?

ISO/IEC17025は、「管理上の要求事項」と「試験所・校正機関が請け負う試験・校正の種類に応じた技術能力に関する要求事項」の2つから構成されている、IATF16949とは、別な規格です。

 

簡単に言うと、試験所特有のISOに成ります。

 

日本の部品メーカーで、この認証を持っている企業は、私の知る範囲では、聞いた事ないですね。

 

普通は、外部の試験専門に行っている試験屋さんが、取得しています。

 

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今回の箇条紹介は、ここまでです。

対訳本の個人的な見解として書いています。

 

皆さんの見解と異なる、若しくは誤っている場合も有るので、他の人は、こんな風にやっているんだという視点で見ていただければと思います。

 

引き続き、各箇条を追加していきますので、宜しくお願い致します。

 

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